口腔内には細菌がいっぱい
口腔内には約1000億から6000億もの細菌が住み着いているといわれます。その細菌の中に歯周病や虫歯の原因となる細菌が住んでいます。口腔内で増殖した細菌が、口腔内の細菌が気管支や肺に入ると、肺炎(65歳以上の死因第1位)を引き起こす原因にもなります。
そして、歯周病による歯肉の炎症が原因で、口腔内の細菌が毛細血管の中に入り込むと、血管を通じて全身に細菌がまわります。歯周病は今や20歳以上の成人では8割以上感染しているとされておりますから、他人事ではありません。
そもそも、歯周病になると約3倍も脳梗塞や心筋梗塞になる確立が上がり、歯周病になると約2倍も糖尿病にかかりやすくなります。また、歯周病になると早産や低体重児出産のリスクが7倍に増えるという報告もあります。さらには、動物実験によると歯周病がアルツハイマー型認知症を悪化させるという報告もあるほどです。
そして、血管に入った細菌が血管壁に炎症を起こして、こぶを作ると動脈硬化となり、血管を詰まらせることもあるそうです。また、血管に入った細菌は血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きを低下させて糖尿病になる可能性もあると言われております。
なぜ口腔内で細菌が増える?
ではなぜ、口腔内で細菌が増えるのでしょうか?
口腔内の細菌は、糖分を栄養として増殖します。食べたり飲んだりしてから8時間経過すると細菌は塊をつくり、24時間経過すると目で見えるくらいの塊、プラーク(歯垢)となります。やわらかいプラークは歯磨きで取り除けるのですが、歯と歯の間や歯と歯茎の境目は、歯磨きでプラークを取り除くことはほぼ不可能なのです。そして、プラークが残ると2~3日で歯石になります。歯石になると、もはや歯磨きでは取り除けません。歯石は細菌が付着しやするなるために、更にプラークが作られやすくなり歯石が増殖します。
では、これらに対して、私たちは打つ手がないのでしょうか?
もちろん、歯科医院へ定期的に口腔ケアのメンテナンスに行かれている方々は、上述したリスクを減らすことができます。しかし、一ヶ月に一度のメンテナンスでは限界があります。そこで、セルフケアが必要となるのです。今回は、歯学博士の照山祐子歯科医師が推奨する「うがい方法」を紹介します。
うがいで細菌と糖分を取り除く
照山博士によると、歯磨きをしても、うがいが十分でないと、口腔内に残存した歯磨き粉にプラークや細菌の餌となる糖分が付着しているということです。ですから、一生懸命に歯を磨いても、十分にうがいをして、歯磨き粉が残らないようにしなければならないようです。その為に研究を重ねた「うがい方法」は、次のようになります。
- 1 30㎖くらいの水を口に含み、口を閉じたまま、含んだ水を上の歯に向けて、クチュクチュとできるだけ大きな音を立てながら、強く早く10回ぶつけて、水を吐き出します。
- 2 同じように口に水を含み、今度は下の歯に向けて、同様に10回ぶつけて、水を吐き出します。
- 3 同じように口に水を含み、今度は右の歯に向けて、同様に10回ぶつけて、水を吐き出します。
- 4 同じように口に水を含み、今度は左の歯に向けて、同様に10回ぶつけて、水を吐き出します。
これが照山博士が推奨される「うがい方法」です。照山博士によると、食後の歯磨きは歯ブラシとフロスでプラークを除去し、この「うがい法」でプラークと歯磨き粉などの残留物を取り除けば十分だそうです。
実は、私も、実践しておりますし、患者さんにもこの「うがい方法」を勧めております。特に歯周病が進行し、口臭が酷い方には、毎食後、この「うがい方法」を3セット行うように勧めており、かなりの効果がありました。この「うがい方法」は、口腔内の細菌を減らし、歯磨き粉などの口腔内の残留物を減らすことで、健康維持に努めることに趣旨がありますが、もちろん口臭予防にも役立ちます。
簡単な方法ですので、是非、皆様もお試しください。
詳細は、『歯科医が考案 毒出しうがい』(アスコム)をお読みください。
本日は、以上です。
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